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「恒さん、この不況、なんとかして下さいよ」。昨年一年間、私はどれほどたぴたぴこうした言葉を皆様からお聞きしたことでしょうか。私の有力な支持者の中にも、自ら命を絶たれた中規模企業の経営者、あるいはサラリーマン、商店主といった方々がおられます。残されたご家族のことなどを思うと、私は政治家としての責務を果たし切れていない自分の非力、無力に、罪の意識さえ持ちます。
私の自由民主党内における最大の仕事は、政策の立案・調整に当たる政務調査会の筆頭副会長としての役割です。小泉首相を頂点とする攻府側の政策決定、新しい制度の創設や内閣提出の新しい法律、あるいは既存の法律の改廃、諸外国や国際機関などとの間の外交などなど、攻府と与党の間に立って、相当に厳しい試練の連続に立ち向かっている日々、といっても過言ではありません。
具体的に言えぱ、経済、財政、金融などあらゆる面からのデフレ不況退治策、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)による拉致問題や核開発問題、田中真紀子元外相や鈴木宗男議員らの『政治とカネ』をめぐる事件、日本の末来を切り拓くための科学技術創造立国への建策や教育基本法改正をはじめとする教育の改革、いかにして医療や福祉を改革して、厳しい財政状況の中で弱い立場にいる方々に、セーフティ・ネットの整備などによって安心をもたらすか−などなど、すべての議論に参加し、実を挙げていかなけれぱならない立場です。
政府側の閣僚などと違って、党側のこうした仕事は地味ですが、閣僚や行政官庁のお役人に比べれば、私たち議員の方がはるかに一般社会の実情や国民の昔様の心情に触れる機会が多いため、目に見えぬ細かなところで私たちの作業はすこぶる重要な役割をになっているといえます。
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そうした、いわぱオールラウンドの場での仕事とともに、政策テーマの分野という面からみると、私の最も重点を置いているのは、引き続き「教育」と「環境」です。党政調会の副会長としての直接の担当は「文部科学」。そして党の文教制度調査会およぴ教育基本法検討特命委員会の両事務局長。「環境」関連では環境墓本問題調査会副会長、与党3党による環境教育推進に関する小委員長など。
この二つの分野の課題だけでも、実に難問山積という他はありません。その中でもおそらく私の今年の最も大きな仕事は教育基本法の改正問題と、環境教育推進のための新しい議員立法を実現させることになると思います。実は私に課せられたこの二つの大命題には共通の狙いがあるのです。
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それは何か。それは私がたえず主張し続けている「人間性の回復」という目標です。私は不況からの脱却、国の財政の立て直しといった当面の謀題に、これまで以上に政府・与党内の仕事場で働きます。一日も早く、今の経済状況を改善しなければなりません。
しかし、私は問い続けてきました。「では、仮に経済が立ち直ったとして、その後のわが国の社会は良くなると思いますか」と。「私たちはあの昭和30年代の後半から始まった高度経清成長の時代に、余りにも多くのわが国の精神的財産を失ってしまったのではないでしょうか」と。
ある人は「日本人はもはや魂(たましい)を見極める気力を失ってしまった」と言いました。同じようにある女性作家はこう書きました。「日本は世界でも有数の、長期の平和と物質的豊かさを誇ることのできる国になったが、その目的に到達すると共に、自身で考える力、苦しみに耐えるカ、人間社会の必然と明暗を、善意を超えて冷静に正視する力を失った」。また、つい最近、私はある署名な老医学博士が教育改草に関連して「日本人にいま最も必要なものはタレント(才能、能力)などというもの以上に、スピリッツ=気迫=激しい精神力ではないか」と言われたのを聞き、激しいショックを心に受けました。
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私は決して復古主義者ではありません。しかし、こうした人たちの言葉にうなずくことのできない人々がいたら、それはそこまで日本の社会の病状が深刻になっていることの証拠だ−と私は反論したいのです。「他人(ひと)を人と思わず」に、「この地球上に生きるすべての生命との共生を願う優しさを蘇らせず」に、どうしてより良い社会ができるのでしょう。人間を強くし、社会を活性化し、進歩させるためには「競争原埋」の導入が必要でしょう。しかし、それは例えばカネの支配力がモノを言う「市場原理」とは違うはずです。
「物の豊かさ」が人間としての感性をにぶくしているとすれば、私たちは教育を見つめ直すことで、「豊かさの中で生きる哲埋」をみんなで産み出していかねばなりません。
先に述べた私の今年の二つの大命題は、せめてこれによって、できるだけ多くの人々が同じ問題意識を持ち、改章への理想を共有することができる契機になれば−との願いに立つものです。
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