「日本一短い母への手紙」という本をご存知だろうか。11年も前に、福井県の丸岡町が出版し、これまでなんと53刷を数えた、隠れたベストセラー。
町が公募し、俵方智さんらが優れたものを選んで、一冊に納めたもの。「この本を読んで涙が出ない人は人間じゃない」。これが私の口癖。結婚披露の宴に招かれると、私は必ずこの本を新郎新婦にプレゼントしてきた。いくつかの手紙をスピーチの中で読み上げ「苦しかったり、辛かったりする時があったら、そっとこの本を読んでね。お母さんの顔が浮かんできて、きっとがんばれるから」と。
ところが、残念なことに、この本の出版元が解散してしまい、版権が大手出版社にわたって、本の姿が文庫本になってしまった。試しに手にしてみたが、やっぱり初版本とは段違い。読んで心に響くものが薄まったような気分。これまでのものを探しまくった挙句、ついに私は”宝の山”を探し当てた。丸岡町当局が出版社に残っていた数百冊を引き取っていたのだ。
私の申し出に、町は快くその一部を私に譲ってくださった。「あー、これでしばらくは、新婚さんに感動を与えられる」。ちなみに、ことし七回忌を迎えた私の母の名は「シン」。TVドラマ以上に我慢強かった「おシンさん」に、この際、私から本の中の一通を贈ります。
「あなたからもらった物は数多く、返せる物はとてもすくない」。と・・・
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